(願成寺所蔵 平成5年12月21日徳島県文化財指定)
像高23.5cmの室町時代末期(天文16年1547)の木造の仏像。左手に薬壺を執り、右手を施無畏とする通行の姿。寄木造りで大粒の螺発や低い肉髻で人間臭いお顔である。右肩から降りる衣が腹前でU字形に2重のたるみがあり、宿院仏師の典型的な作風を示していると言われている。
この仏像の胎内には「南都宿院仏師定正源次 天文16年丁未6月27日」「当時住持五叔等川本願三蔵 大旦那元武」の墨書がある。元武とは大西元武のことであり、元武は三好長慶とともに室町末期に近畿で戦いをしており何かの機会に宿院仏師に作らせたか、または作ってあるものを持ち帰り願成寺に寄進したものであろう。