トップ観光・文化・スポーツ文化財東みよし町の文化財 願成寺所蔵の十王像

東みよし町の文化財 願成寺所蔵の十王像

願成寺所蔵の十王像の写真

願成寺には、東みよし町の文化財指定外である、十王像が、旧三好郡内では唯一安置されている。この十王は、人が亡くなった死後の世界を表そうとした裁判官の姿を仏像化したものであるが、今回は「十王経」に説かれている裁判の方法を記述してみます。また、仏教の各宗によっては十王を解かないところ(浄土真宗)もあります。

願成寺所蔵の十王像

仏教では、極善人・極悪人は死の瞬間に直ちに裁判なしで、天界と地獄に行き先が決まる。その他の者は、生前に大小の罪(悪いこと)を重ねてきたことに対して裁きが必要である。その判決に基づいて、来世(六道…地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天道)は何処に行くのかが決まるのである。その期間が仏教では「中陰又は中有」という。その裁判官が十王である。まず、死者は「冥土の旅」を始める。そうしているうちに7日目に、最初の裁判官である(秦広王)の法廷に立たされる。ここでは書類審査と「殺生の行為」の弁解をするチャンスがあたえられ裁かれる。ここで審判が下されていない死者は、14日目、第二の裁判官(初江王)の前に立ち、衣類をはぎ取られ木の枝にかけ、垂れさがり方で「盗みの行為」を重さで量る。21日目、第三の裁判官(宋帝王)の法廷には、ネコとヘビを使って死者が生前に「邪淫の罪」を犯していないか調べるのである。28日目、第四の(五官王)によって「妄語の罪」を一目で読み取れる秤で判決が出される。35日目、ここで高名な第5の裁判官(閻魔王)が、今までに出された書類審査と生前の悪行をすべて映し出す浄玻璃(水晶)の鏡で裁くのであるが、閻魔王は以外にも7日間の猶予を与えてくれる。42日目、第六の(変成王)は、五官王と閻魔王の報告に基づいて再審を行うのである。念には念をいれよ、というわけであろう。そして、ついに満中陰(49日目)、最終判決が(泰山王)によって行われる。ここでの裁判は一風変わったやり方で、自分で自分の行き先を選ぶ方法である。六つの鳥居(色、大きさ、素材などが違う)から選ばされる。つまり、生前に作り出した業(行為)の結果である。その鳥居をくぐった先が来世となる。その後は、百箇日(平等王)・一周忌(都市王)・三回忌(五道転輪王)により、地獄・餓鬼・畜生界に生まれた者を再審してくれるが、2年目の三回忌が最後のチャンスである。また、十王の裁判官のそれぞれが、その背後に仏や菩薩の姿をもっているのです。

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