JR徳島線阿波加茂駅から東北500mに一つの小森のように緑の塊が見えるのがこの樹である。
樟樹の範型的な繁茂をとげた本樹は、殊に其の生育する位置は、至便の処にして且つ他に此の大樹の雄美を遮るものとてなく、恰も菌傘の開けるが如く壮大でよく整った樹容を誇りとし、まさに日本一である。
大正15年(1926)10月20日、内務省告示第58号をもって保存要目天然記念物中、植物の部第1類により「クス」の代表的巨樹として天然記念物に指定せされ、昭和31年(1956)7月19日文化財保護法により特別天然記念物に指定せられた。樹齢1000年余と推定せられ、根廻り19m、目通りの周囲約13m、枝張りは東西径45m、南北径40mを占め、樹高さ約25mの巨樹である。
日本では、本州関東以南九州に自生し、樟樹の巨樹としては北限とされている。5月ごろ、初め白色で、のち黄色になる小さき花を咲かせる。
昭和40年には国・県・町、350万円で保護事業に乗出し、「クス」の木の周囲の水田約40aを買収、根元に盛土し、鉄サクを立てて肥料を与えた。この「クス」は落雷で幹に大きな穴が開き、雨水が浸み込むのを避けようとセメントを詰めるなどの応急措置もした。ところが1年ぐらい前から枝の先端が枯れて樹勢が見違えるように衰えているので早急な対策が望まれている。
東みよし町の文化財 加茂の大クス
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