所有者は中庄の松浦信英氏。板碑は石造塔婆の一種で、板状の石材を用い身分には種子、真言、仏像や塔婆の図などが彫刻されるのが普通である。形が簡単なので、大衆的な塔婆として鎌倉時代以後とくにさかんに全国各地で用いられた。
中庄の板碑は、字佃にあり緑泥片岩製で地上部の高さ184cm、埋没部50~60cm余りの大きなものである。銘文によると貞治2年(1363)に長賢という僧によって建てられたことがわかる。長賢についてははっきりしないが、恐らくその発願勧化に応じてこの地域の人々が喜捨した供養塔であろう。県内にはこの種の板碑は数多いが、条里に沿う古道に南面して造立以来600年余も移動されず、もとの位置にある本例のような板碑は少ない。昭和57年7月20日町民俗文化財に指定された。
(みかもの文化財より)