この画像は、明治43年(1910)8月29日「般若菩薩像」として指定(絵画)を受けていたが、昭和44年(1969)(6月20日文部省告示)を持って「文殊菩薩像」と改められたものである。
この作品は極めて少なく、貴重な作品である。素肌を見せる上半身は極めて端麗で、美しい宝冠、胸飾り(瓔珞)、臂釧、腕釧などで彩られ、この図は右手に経箱をささげ、左手に蓮茎をもち蓮華座に坐している菩薩像である。衣のすそは朱色截金を施した雲竜文、菊文を描いている。明治39年(1906)5月に修理した裏書があるが、剥落欠損の痕が多かったため、昭和41年(1966)度に京都国宝修理所で再修理して現在の画面は美しくなっている。
(徳島の文化財(1969)より)
※原物は京都国立博物館