加茂の内田和夫氏蔵。これは祖谷山の名族菅生家に伝えられた宝物で、古来源氏の白旗と称された霊験の伝説を伴って尊崇せられたものである。地質は白絹で長さ約2.73m幅約84.8cm軸物になっている。上部の八幡大菩薩の文字は中村直勝博士の鑑定によると足利尊氏の筆蹟であるという。下部の三階菱は小笠原氏の系統を示すものである。この旗の伝来についての文献はないが源平時代のものとする説と南北朝時代のいわゆる山嶽武士が使用したという説があるが、中世の軍旗で残存している物は稀で全国的に見て珍しく貴重な資料である。
江戸時代の初期に藩主の命によって提出したところ将来破損亡失せられるのを惜しむという理から表装して軸物仕立にして返却せられたと伝えられている。昭和32年1月16日県有形文化財(書跡)に指定された。
(みかもの文化財より)