障がい者の方、難病患者の方は、災害が発生した場合には、情報把握、避難、生活手段の確保などの活動が、円滑かつ迅速に行いにくい立場に置かれています。
また、災害発生から復興するまでの間、社会的な支援やこれまで利用していたサービスは、限定されてしまう恐れがあります。したがって、「自助・共助」を念頭に置き、個々の状況や特性に合わせた「事前の準備」を十分に行うことが重要です。こうしたことで、災害時の不安が解消し、また、支援を受けやすい状況が整うことになります。
障がい者・難病患者の皆様の日頃からの備えのポイントや事前の準備について、以下のとおりまとめました。特性や状況に応じた備えを心がけましょう。
肢体不自由のある方
・杖や歩行器を使用している人は、いつも身近に置いておきましょう。
・車椅子や歩行補助具が点灯した家具の下敷きにならないよう、安全なスペースを確保するとともに。暗闇になっても分かるようにしておきましょう。
・非常持出品の中に、紙おむつや携帯トイレ、ビニールシート(おむつ交換時や着替えに必要)を用意しておきましょう。
・自力で移動することが困難な場合に備え、幅の広いひも(おんぶひも)などを用意しておきましょう。
・車椅子を使用している人は、雨天や寒冷に備え、車椅子でも使用可能なカッパ等を用意しておきましょう。また、車椅子以外で移動ができる人は、車椅子がしようできないときのために杖などを準備しておきましょう。
・電動車いすを使用している人は、使用後必ず充電し、いつでも使える状態にしておきましょう。
視覚障がいのある方
・非常持ち出し袋のある場所はどこか確認しておきましょう。
・手探りをする際に割れたガラスなどでケガをしないように、手袋を枕元に用意しておきましょう。
・非常持出品の中に、白状(折り畳み式)・点字器を加えておきましょう。
・すぐに災害情報を得るために、ラジオを身近なところに置きましょう。
・情報を入手したり、自分から状況を連絡できるように、携帯電話などを活用しましょう。
聴覚・音声言語障がいのある方
・非常用持出品の中に、補聴器用の電池、筆談のためのメモ用紙、筆記用具、停電の際に手話で会話ができる携帯用照明、笛や警報ブザーなどを加えておきましょう。
・囚人時に災害が発生した時のために、枕元に補聴器を置きましょう。
・情報を入手したり、自分から状況を連絡できるように、文字情報が受診・発信できる携帯電話やファックスなどを活用しましょう。
・災害時に利用できる「緊急会話カード」を作成しておくことも、周りの人に支援を求める場合に大変役立ちます。
知的障がいのある方
・日頃服用していいる薬があれば、非常用持出品野中に加え、かかりつけ医療機関名や薬のメモもその中に入れておきましょう。
・災害発生時に家族などから連絡がとれるように携帯電話を活用しましょう。
精神障がいのある方
・非常用持出品の中に、日頃から服用している薬を加え(最低3日~1週間分)、かかりつけ医療機関名や薬のメモもその中に入れておきましょう。
・家族にも、医療機関からの指示や緊急時の対処法等をよく理解しておいてもらいましょう。
内部障がいのある方、難病患者・医療機器を使用中の方など
・非常用持出品の中に、日頃服用している薬や特殊な治療食、日頃使用している装具を加えておきましょう(最低3日~1週間分)。また、かかりつけ医療機関や日頃服用している薬のメモもその中に入れておきましょう。
・ぼうこう、または直腸機能に障がいのある人は、ストマ用装具などの関係用品を準備しておきましょう。
・ストマ用装具はメーカー名、品名はもちろん、サイズも正確にメモをして非常用持出品の中に入れておきましょう。
・普段服用している薬の名前は必ずメモしておき、携帯するように心がけましょう。例えば、「血圧を下げる薬をもらっていました」では非常時には役に立ちません。災害救助の医師や看護師に正確な薬名を伝えられるようにしておくことが何より大切です。